Note

鹿児島の街なか探訪(2) 天文館界隈

鹿児島随一の繁華街・歓楽街の『天文館』を歩く。

九州新幹線開通後は、JRターミナルがある鹿児島中央駅周辺が鹿児島の中心を奪っていくんじゃ無いかと噂され、現に再開発ビル建設、人流が一時は鹿児島中央駅に集中していたが、やはり歴史と多くの蓄積を持つ天文館界隈は以前にもまして賑わいと求心力を維持し続けているようだ。

ちなみに『天文館』は、江戸時代後期(18世紀)、島津藩第25代当主となった島津重豪(しげひで)が天文観測所としてつくった「明治館」(別名:天文館)がその名の由来となっている。明治から大正時代までは空き地が目立つ寂しい場所であったが、昭和初期に路面電車が開通し”鹿児島座”という映画館や劇場が開館して以来、昼夜を問わず人で賑わう鹿児島随一の繁華街になった。「天文館」ホームページより引用。

 

清滝のこみち    鹿児島県鹿児島市山之口町/樋口町「清滝川通り」

かつては異臭を放ち、所々、市営駐車場として利用されながら、見窄らしい景観だった「清滝川通り」が完全暗渠化して遊歩道にリニューアルされた。近くの歓楽街よろしく、名前とは正反対のドブ川で私の幼少期の記憶は甚だよろしくなかった。東には同じくリニューアルされた「天文館公園」があり、かつての薄暗いイメージからオープンで居心地のいい公園になり、多くの人で賑わっている。特に芝生広場が美しい。その天文館公園、あるいは繁華街「天文館」へのアプローチとして、『清滝のこみち』は心地よい遊歩道となっている。デザイン的には少しありふれたデザインでイマイチだが、かつてのドブ川のイメージを一新した、そのプロセスを想像すると、事業的には相当な紆余曲折・苦労があったのでは無いかと勝手に感慨深い思いを感じてしまった。

この清滝川は、城山を源流に市中を北から南へ流れ、錦江町埋立地の河口から錦江湾へと注ぐ。江戸時代には城下の貴重な水源になっていたのだろう。また近代化する以前には、川沿いに魅力的な景観が広がっていたに違いない。かつて、下流には遊郭もあったらしい。詳しくは、鮫島潤氏(鮫島病院)の随筆「清滝川の変遷」を参照されたし。

天文館公園    鹿児島県鹿児島市千日町9-30

天文館G3アーケードを南に下った先、一皮南西に入ったところに『天文館公園』がある。この天文館公園も「清滝のこみち」同様にかつては陰湿な公園だったように記憶している。”歓楽街の一角によくある暗く薄汚い公園”そんな印象だった。それがすっかり変わって、周囲の住人の談笑の場、街なかに来た買い物客の休憩の場、子育て中のお父さんが子ども達を遊ばせる場、となって、非常に微笑ましい光景が展開されている。やっぱり街なかに広い芝生が広がる公園があるのはいい。

 

中央公園    鹿児島県鹿児島市山下町4-1

天文館通りを抜けて照国神社へ向かう途中右手にある『中央公園』は鹿児島県の公園で、地下には約600台を収容する駐車場が整備されている。広さ2haの園内には、中央に広々とした芝生広場、シンボルのオブジェ、「ジャブジャブ池」にせせらぎがあって、家族連れや子ども達が遊んだり、寝転んだりしている。繁華街近くに大きな芝生広場を持つ公園は羨ましい。公園の一角にカフェがあるとよりアクテビティや居心地がよくなると思うのだが…。それにしても、この公園が鹿児島での私の一番のお気に入りの場所になっている。周囲の環境もこれに呼応してバージョンアップしてくれるといいのだが…。

 

天文館G3アーケード    鹿児島県鹿児島市千日町

立派なアーケードと、ギラギラしたシネコン、ゲーセンなどエンタメ施設が、楽しく歩くには辛い通りにしている。かつてはレコード楽器店や書店、小ぶりの店が幾つもあって、暖かい賑わいを持っていた場所だったのに。今では、欲望剥き出しの場所に変わってしまった。それにしても、アーケードのギリシャ神殿に似せたデザインが、ハリボテで品位がなく、また痛々しくも感じてしまう。

 

千日町1・4番街区再開発「センテラス天文館」    鹿児島県鹿児島市千日町1-1

令和4年4月にオープンした再開発ビル『センテラス天文館』。鹿児島の新たなランドマークとして、様々なヒト・モノ・コトが行き交う場所を目指して、千日町の「千」と憩いの場所の「テラス」を組み合わせてネーミングされている。かつて「タカプラ」の愛称で親しまれた高島屋プラザの跡地に建つ、地上15階、地下1階、延べ床面積36 ,700m2、容積率587%の商業ビルだ。G3アーケードと大通りの角に巨大ピロティ(広場空間)を設けているのは好感が持てるのだが、デザインがイマイチ。それにG3アーケードの延長で落ち着かない空間になっている。

それにしても実現可能容積率800%に対して200%以上容積率を余らせたのは、将来の再建替えを見越してのことだろうか?やはり天文館と言えども、鹿児島には未だ800%もの床を埋める程の市場ニーズが無いということか?皆さんも事業フレーム(事業概要)を俯瞰して見て考えて欲しい。

 

いづろ通りの夜間景観    鹿児島県鹿児島市いづろ

天文館の大通り『いづろ通り』は、昼間はやたら沢山のギラギラした看板が目についていたが、夜は以外に看板は目立たなく、幾分落ち着いて眺めることができる。立派すぎるアーケードの照明がいい感じに街並みにリズム感を与えている。でも、ちょっと重たいけど。新参者の再開発ビル「センテラス天文館」の大型オーロラビジョンはいただけない。アーケードがわりに大通りに大きく張り出した庇も何とかなく落ち着かない。単体で見るデザインは悪くは無いのだけれど、これまでいづろ通り〜金生通りに連続した古典欧風アーケードとの折り合いはどうするのだろうか?市電軌道の芝生の緑だけは一筋通って味のある景観を創り出している。沿道建物側でも緑のデザインが欲しいな?もっとマルヤガーデンズのデザインが広がっていけばいいのに…、と思いました。